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実務補習でヒーローになれる!報告書作成のためだけのWord編集テクニック

こんにちは、yuhkiです。

この記事では、中小企業診断士実務補習で欠かせないWordファイルの編集テクニックを具体的にまとめました。

スムーズな設定でチームの報告書作成を牽引し、ヒーローになりましょう!

はじめに

2023年7月、初めての実務補習に取り組んできました。

素晴らしい講師と班員に恵まれ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

 

そんな実務補習に際して事前準備をあれこれ進めていたのですが、一番役に立った準備が「Wordファイルの編集方法を勉強しておく」でした。

(なお、一番ウケた準備は「担当講師が執筆した雑誌の記事を読んでおく」でした)

 

実務補習の診断書は細かな記載ルールが設定されています。

また、班員がそれぞれ作成したファイルをまとめて1つの報告書を作るという作業の特性があります。

その上、ファイルをまとめた後も、目次を入れたり表紙をつけたり添付資料を載せたりとやること目白押し。

その結果、上手く取りまとめないと、ルールにそぐわない報告書や見栄えが汚い報告書が完成してしまうわけです。

完成するならまだマシで、下手すれば完成すらしないかもしれません。

そうしたトラブルを回避するために、実践で発生しそうな手順を想定して、Wordの操作方法を勉強してから臨みました。

 

ただし、準備をする中で気づいたのですが、「実務補習に向けてWordの編集方法を勉強しておきましょう!」という記事はあっても「具体的にこのように編集しましょう!」と書かれた記事はほとんどないです。

 

そこで、この記事では、実務補習で実際に使用した編集テクニックをまとめることにしました。

どのようにファイル作成を進めれば良いかがわかるようになっています。

かなり長い記事ですが、その分、具体的に手順を記載しました。

ぜひ報告書作成のバイブルにしてください。

注意

本記事で参考にしているファイル設定の情報は全て2023年7,8,9月コースの実務補習申込時の情報です。最新の状況とは異なる可能性がございます。

記事中のスクリーンショットはWord for Mac バージョン16.75です。環境によってはメニューの配置などに違いがある場合があります。

 

目次

 

Word編集テクニック【設定編】

用紙、ページ番号、スタイルの3点について、報告書用に設定をしておきます。

報告書作成を始める前に実施しましょう。

用紙の設定

報告書の用紙に関する書式は以下のとおりです。

  • 文字数:1行 40字×30行
  • 文字と行数の設定:「原稿用紙の設定にする」をON
  • 余白:右側のみ20mm、それ以外は25mm

これらは全て フォーマット→文書のレイアウト から設定します。

フォーマットの設定

ページ番号(フッター)の設定

挿入→ページ番号 から設定します。

位置を「ページの下(フッター)」にするだけで、各ページの下部にページ番号が挿入されます。

ページ番号の設定

なお、フッターそのものの設定も別途可能です。

ただし、報告書ではフッターの詳細までは指定されていないので、ここでは割愛します。

スタイルの設定

スタイルは最も重要なポイントです!

・フォントが1クリックで揃う

・通し番号が綺麗に並ぶ

・目次が1秒で完成する

とメリットが盛りだくさんです!

 

報告書では、文字の書式として以下の4つが指定されています。

ここを揃えるために、「スタイル」を作成します。

スタイルとは、大きさやフォントといった文字の書式と、配置やレベルといった段落の書式を組み合わせてセットしたものです。

ホーム→スタイルと選択すると、様々なスタイルが用意されていることが確認できます。

Wordに用意されているスタイル

このスタイルを、報告書用に自作します。

スタイル→新しいスタイルからスタイル作成用のメニューを開いて、以下の通り設定してください。

大見出し・中見出し・小見出しのスタイル

プロパティの設定

  • 名称:「報告書 大見出し」などわかりやすいものに設定
  • 種類:段落
  • 基準にするスタイル:(スタイルなし)
  • 次の段落のスタイル:報告書 本文(推奨)

書式設定

  • 言語:日本語英語共通
  • フォント:MS Pゴシック
  • 文字サイズ:見出しに合わせて設定(大見出しなら14pt)

レベル

スタイル作成用メニューの左下にあるプルダウンから「段落」を選択して設定画面に入ります。

全般の設定項目で、アウトラインレベルを大見出しの場合は「レベル1」、中見出しの場合は「レベル2」、小見出しの場合は「レベル3」に設定してください。

基本の書式とレベルの設定

段落番号

スタイル作成用メニューの左下にあるプルダウンから「箇条書きと段落番号」を選択して設定画面に入ります。

大見出しと中見出しは画像を参考に既存のものから選択するだけで良いです。

大見出しと中見出しの段落番号

 

小見出しの段落番号は、やや特殊なため、お手本通りのものは自動作成できなさそうです。

ただし、うまく設定すればそれっぽいものは再現できました。

小見出しの段落番号サンプル

多少お手本と違っても自動作成することを選ぶ場合は、以下の手順で設定できます

既存の丸括弧を使用している段落番号を選択した状態で「ユーザー設定」を押し、段落番号の書式設定を開きます。

設定項目のうち、「番号書式」をスペースと丸括弧で囲った数字(画像参照)に、「番号スタイル」を全角に変更すれば設定完了です。

小見出しの段落番号の書式設定
本文のスタイル

プロパティの設定

  • 名称:「報告書 本文」などわかりやすいものに設定
  • 種類:段落
  • 基準にするスタイル:(スタイルなし)
  • 次の段落のスタイル:報告書 本文(このスタイル)

書式設定

  • 言語:日本語英語共通
  • フォント:MS 明細(私の環境だと「MS 明朝」でした)
  • 文字サイズ:11pt

字下げ設定

スタイル作成用メニューの左下にあるプルダウンから「段落」を選択して設定画面に入ります。

インデントの設定項目で、最初の行を「字下げ」に、間隔を「1字」に設定してください。

本文スタイルの字下げ設定

ファイルの共有

ここまで設定が終わったファイルを班員に共有して、使い方を説明しておきましょう。

設定が済んだファイルを全員が利用することで、最後の結合作業が劇的に楽になります。

顔を合わせて間もない班員に提案するのはなかなか緊張するかもしれませんが、1週間後のチームのためにもぜひ共有しておきましょう。

 

Word編集テクニック【執筆編】

一人一人が執筆する際に留意すべきポイントを説明します。

必須テクニックというよりは、細かいTipsや注意事項です。

スタイルの反映

設定済みのスタイルを反映する際は、設定したい箇所を範囲指定してスタイルウィンドウから選択します。

 

都度設定していっても良いですし、ひとしきり書き終えた後に反映することもできます。

スタイルの反映

図表タイトルの挿入

ファイル中に図表を差し込む時、図表タイトルを付与する場合が多いです。

本文で画像の前後に直接書くこともできますが、図表右クリック→図表番号の挿入から設定することもできます。

画像に直接リンクさせる形式で番号を挿入することができます。

図表タイトルの設定例

このように設定するメリットは ・本文から図表番号を参照しやすくなる ・図表目次を簡単に作成できる です。

ただし、必須ではなく、見出しのスタイル設定などに比べると必要性は低いです。

メンバーと相談し、こだわるようであれば統一して設定するようにしましょう。

 

また、図表番号の命名規則は、メンバー内で統一しておきましょう。

独自の設定をしたい場合は、図表番号の挿入から開いたメニューにある「新しいラベル」から設定することができます。

図表への装飾

画像に枠や線などの図形をつけたい場合は、PowerPointなどで「図形を合成した画像」を作成するのがおすすめです。

Wordの機能で図形を挿入して画像の上に配置すると、改行や改ページなどで画像と図形がずれてしまう場合があるためです。

最終的に全員分のファイルを結合することを見越して、やや手間ですが都度作成しましょう。

 

なお、Windowsでは "Windowsキー + Ctrl + S" で、Macでは"command + Shift + 4"で、画面を範囲指定してスクリーンショットを撮影することができます。

Windowsではそのまま、MacではCtrlキーを押しながら撮影すればクリップボードに保存されるので、画像をそのままWordに貼ることができます。

画像を貼る作業が非常に早くなります。ぜひ利用しましょう。

文字の整列

本文や図表に対して、中央揃えや右寄せは適用できません。「原稿用紙の設定にする」をONにしているためです。

極力これらを利用しなくても綺麗に見えるように作成しましょう。

どうしても中央揃えや右揃えを利用したい場合などは、本文であればスペースによる調整を利用します。

図表であれば、「左右に余白をいれた画像」を作成することで、擬似的に中央揃えや右揃えを再現することができます。

擬似的な図表の中央揃え

Word編集テクニック【結合編】

全員がそれぞれのパートを書き上げた後に、1つのファイルにまとめる作業を順に説明します。

なお、ファイル結合作業は代表者1人が引き受けることを想定しています。

Google Docs や Word for the webを使って複数人で同時編集することは想定していません。

手順1:全員のファイルをコピペする

全員の内容を1つのファイルにコピペして繋げていきます。

事前に設定済みのファイルを共有しているのであれば、書式を保存してペーストします。

事前に設定済みのファイルを共有していないのであれば、書式は気にせずにペーストします。

 

手順2:スタイルを駆使して全員の書式を揃える

メンバーごとにバラバラになっていると思われる、見出しや字下げといった設定を順番に揃えていきます。

事前に設定済みのファイルを共有し、手順1で「書式を保存してペースト」ができている場合はこの手順は不要です。

手順3に進んでください。

1.一旦文書全体に「報告書 本文」のスタイルを適用する

これからスタイルを揃えていくのですが、その前に一旦リセットします。

メンバーが細かく設定しているものを消すのは心苦しさがあるかもしれませんが、ちょっとずつスタイルを見直していくよりは効率的です。

2.文頭のスペースを置換で削除する

「報告書 本文」のスタイルは、行頭には自動でスペースが入るようになっています。
そのため、元の文章にスペースを入力していると、行頭が2文字分ずれることになります。
そこで、「行頭のスペース入力をスペースなしに置換する」という処理で、一括して削除します。

 

編集→検索→高度な検索と置換 から、検索対象を「^p^w」、置換後の文字列を「^p」として「すべて置換」を実行します。

高度な検索と置換の設定

ちなみに、「^p」は改行を、「^w」はスペースを表します。

ですので、ここでは「改行の後にあるスペースを改行にする」という置換をしているわけです。

 

なお、図表の位置などをスペースで調整している場合も削除されてしまいます。

実行の際はご注意ください。

 

3.見出しのスタイルを設定する


1.で文章全体が「報告書 本文」になっています。

文章を頭から確認し、見出しにあたる部分を範囲選択→スタイル ウィンドウから適切な見出しのスタイルを反映 を繰り返して、それぞれの見出しを設定しましょう。

先にも触れましたが、スタイルを適切に利用することは目次がすぐ作成できるメリットがあります。

フォントを設定するのではなく、スタイルで反映することを徹底しましょう。

手順3:大見出しと中見出しの前に改ページを挿入する(任意)

結合後に修正を加えても、改ページの箇所でズレが吸収されて、報告書全体としてのズレが生じにくくなる効果があります。

また、報告書が1冊にまとまった時にページの変わり目がわかりやすく、見栄えがよくなる効果もあります。

必須ではないですが、やっておいて損はないです。

 

改ページを入れたい箇所にカーソルを合わせて、挿入→改ページをクリックすれば挿入できます。

なお、ホーム→編集記号の表示/非表示 から、編集記号を表示するよう設定しておくと、改ページがどこに挿入されたかわかりやすくなるのでおすすめです。

編集記号表示の比較

 

手順4:中見出しの番号を振り直す(任意)

例えば大見出しⅠの中で中見出し1,2,3を設定した後、続く大見出しⅡの中で中見出しを設定する4,5,6…と段落番号が振られます。
通し番号をリセットして1からカウントしたい場合は、始点としたい通し番号を右クリックし、「番号を振り直す」を選択してください。

番号を振り直した例

手順5:報告書に必須の図表を挿入する

報告書にはフローチャート図や提言をまとめた表などを入れる必要があります。

これらは、ExcelPowerPointで見た目を整えた上で、画像形式でWordに貼ります。

表の挿入はWord上でも作成できますが非推奨です。

「原稿用紙の設定にする」をONにしている関係上、幅や文字の並びといった見た目を整えることが極めて困難なためです。

 

また、見出し部分は文字で入力して大見出しのスタイルを反映し、先頭の段落番号を削除しておきます(段落番号はバックスベースで削除できます)。

目次に表示させるためです。

フローチャートの挿入例

手順6:目次を作成する

一番苦労される方が多いポイントではないでしょうか。

ただし、ここまで適切にスタイルが設定できていれば驚くほど簡単に作成できます。

1.目次を新規に挿入する

目次を入れたい箇所にカーソルをあわせ、 参照設定→目次→目次の挿入 を選択するだけです。
前述の通り、スタイルに設定した「レベル」をもとに、自動で目次が完成します。

もし上手に目次が完成しない場合は、スタイルのレベルが適切に設定されているか見直しましょう。

 

2.目次を調整する

目次に表示する内容はレベル単位で設定できます。

今回の場合は「レベル1まで(大見出しだけの目次にする)」「レベル2まで(大見出しと中見出しの目次にする)」「レベル3まで(大見出しから小見出しまで全て目次にする)」です。

表示する内容を変えたい場合は「ユーザ設定の目次」から「アウトラインレベル」の数値を変更してください。

アウトラインレベルの設定
3.目次を更新する

ファイルの修正を実施した後に、目次のページ数を修正したい場合は「目次の更新」を選択するだけです。

自動で新しいページ番号に修正してくれます。

手順7:PDFとして保存する

作成はWordで進めますが、最終的な提出や印刷のためにPDFに変換します。

「名前をつけて保存」からファイル形式を「PDF」にしてエクスポートすればPDFが出力でさきます。形式については「印刷に最適」が良いです。

ファイルのエクスポート
(右下のボタンが「保存」から「エクスポート」になるの、芸が細かくて好きです)

 

手順8:表紙や添付書類を結合する

報告書には、最初に表紙をつけたり、最後に添付書類をつけたりする必要があります。

ページ番号を通す場合はWordファイル上で作成しておく必要があります。手順5を参考にしてください。

一方、ページ番号を通さない場合、わざわざWordファイル上で切り貼りする必要はありません。

それぞれPDF化した後に繋げるだけで済みます。

 

1.Acrobat Readerを使う場合

ツール→ファイルを結合→ファイルを追加 から結合できるそうです。(PDF結合の方法 | Adobe Acrobat

私のPCにAcrobat Readerが入っていないので図での説明は割愛します。

 

2.プレビューを使う場合(Macユーザ向け)

MacでPDFを閲覧できるプレビューでもファイルの結合ができます。

まずは表示→サムネールで左側にページ一覧を表示させます。

すると、左下にプラスマークが表示されます。

この状態で、「ファイルからページ挿入」を選択し、結合したいPDFファイルを選びます。

これで、元のPDFファイルに続いて選択したファイルが結合された状態になります。

この状態で保存すれば、ファイルが結合された状態になります。

プレビューを使ったPDFファイルの結合

なお、PDFの並び順を変えたい時はページ一覧をドラッグ&ドロップすれば良いです。

このほかにも「選択したページをdeleteキーで消す」「ページをコピー&ペーストする」といった操作もページ一覧から実施できます。試してみてください。

 

最後に

ここまで長文にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

少しでもこの記事がお役に立ち、実務補習が成功裏に終わることを願っております。